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自治会の防災用品リスト|揃えるべき備蓄と管理のコツ
自治会での防災用品リスト作り、お悩みではありませんか。「防災の必需品リストはありますか?」という切実な声は、多くの地域で聞かれます。いざという時のために町内会の防災備蓄を進めることは、自分たちの地域を守る上で欠かせません。しかし、自治体の防災用品とは別に、自分たちの自治会として何を備えるべきか、防災倉庫に入れておくべきものは何か、具体的なリストアップは難しいものです。
特に、防災倉庫の備品リストや救助に使う防災資機材リストの作成、さらには自治会の非常食の選定まで、考えるべきことは多岐にわたります。また、戸建て住宅地とマンションとでは必要な備えも異なり、それぞれの自治会の防災への取り組みが問われるところです。この記事では、防災倉庫を自治会でどう管理し、備蓄した防災グッズを町内会でどう配布するのかといった実践的な内容まで、失敗や後悔のないリスト作りのポイントを網羅的に解説します。
準備の第一歩!自治会 防災用品 リスト
防災の必需品リストはありますか?
「防災の必需品リストはありますか?」というご質問は、防災担当者の方が最初に直面する課題だと思います。インターネットや書籍で一般的なリストは見つかりますが、それをそのまま自分たちの地域に当てはめるだけでは不十分な場合があります。なぜなら、最適なリストは、その地域に住む人々の年齢構成、世帯数、地形的なリスク、そして利用できる施設によって大きく異なるからです。
例えば、高齢者が多い地域ではお粥や刻み食といった配慮が必要な食料が求められますし、乳幼児のいる家庭が多い場合は粉ミルクやおむつの備蓄が欠かせません。まずは、自分たちの地域特性を把握することが、実用的なリスト作成の第一歩となります。一般的なリストを参考にしつつも、あくまで「たたき台」として捉え、地域の実情に合わせて内容を精査していくプロセスが大切です。
自治体 防災用品との役割分担とは
自治会で防災用品を準備するにあたり、市町村などの自治体が備蓄する防災用品との役割分担を理解しておくことが考えられます。大規模災害が発生した際、消防や自衛隊などによる救助活動を「公助」と呼びますが、自治体が備える物資もこの公助の一環です。しかし、災害が大きければ大きいほど、公助がすぐに行き届かない可能性が高まります。
そこで重要になるのが、自分たちの身は自分たちで守る「自助」と、地域住民が助け合う「共助」です。自治会の備蓄は、この「共助」の中核を担うものと言えます。公助による支援物資が届くまでの間、あるいは避難所の初期段階を乗り切るために、地域で協力して食料や生活必需品を確保・分配する体制を整えておくのです。自治体の備蓄をあてにしすぎず、「公助が届くまでの数日間を、自分たちの力でどう乗り切るか」という視点で必要なものを考えることが、共助の備えを充実させる鍵となります。
防災倉庫は自治会でどう管理する?
防災用品を揃えても、それを保管し、いざという時に円滑に活用できなければ意味がありません。防災倉庫の管理は、自治会の防災活動における重要なテーマです。まず検討すべきは設置場所です。多くの住民がアクセスしやすく、かつ浸水や土砂災害のリスクが低い場所を選ぶ必要があります。学校や公民館の敷地内、公園の一角などが候補となることが多いです。
次に、倉庫の鍵の管理方法が挙げられます。複数の役員が鍵を持つ、あるいはキーボックスを設置するなど、災害発生時に担当者が不在でも開けられるルールを定めておくことが求められます。阪神・淡路大震災では、住民がやむを得ず倉庫の鍵を壊して避難所を開設した例もありました。
そして、最も大切なのが定期的な在庫管理です。食料や飲料水には賞味期限があり、乾電池なども使用推奨期限があります。年に1〜2回は必ず全品チェックを行い、期限が近いものは防災訓練などで消費し、新しいものと入れ替える「ローリングストック」を実践することが望ましいでしょう。この点検作業を防災イベントと組み合わせることで、住民の防災意識向上にも繋がります。
高層マンションで特に注意すべきこと
戸建て住宅地とは異なり、高層マンションでは特有の災害リスクが存在します。大きな地震が発生すると、エレベーターが停止し、高層階の住民が地上との行き来を断たれてしまう、いわゆる「高層難民」問題が懸念されます。このため、マンションにおける備蓄は、ライフラインの復旧やエレベーターの運転再開まで長期間在宅避難を続けることを想定し、最低でも5日分から7日分を用意することが推奨されています。
また、階段での避難も大きな課題です。自力での移動が困難な高齢者や負傷者を安全に降ろすため、非常用の階段避難車や布担架などを準備している管理組合もあります。さらに、全戸の水道が止まった際のトイレ問題は深刻です。各家庭での簡易トイレの備えを呼びかけるとともに、共用部には下水道管に直結できるマンホールトイレなどを整備しておくことが有効な対策となります。情報伝達手段として、トランシーバーや電源不要のホワイトボードなどを各フロアに分散して配置することも、高層階の孤立を防ぐ上で効果的と考えられます。
町内会での防災と備蓄の基本を解説
町内会で防災備蓄を始める際の基本は、「誰のために、何を、どれくらい」備えるかを明確にすることです。まず対象者を定義します。例えば、「自宅が被災し、避難所に来ざるを得なくなった住民」を対象とするのか、あるいは「在宅避難者も含めた地域全体の住民」を対象とするのかで、必要な量は大きく変わってきます。
次いで、備蓄する期間を定めます。一般的には、公的な支援が本格化するまでの目安として「3日間」が一つの基準とされますが、前述の通り、高層マンションなどではより長い期間を設定する必要があります。
量の算定については、飲料水は「1人1日3リットル」、非常食は「1人1日3食」が最低限の目安です。例えば、100人が3日間避難生活を送ると想定した場合、水は100人×3L×3日=900L、食料は100人×3食×3日=900食が必要となります。ただし、これはあくまで最低ラインであり、予算や保管スペースと相談しながら、少しでも余裕を持った備蓄を目指すことが望ましいでしょう。初期段階では完璧を目指さず、まずは最低限の備えからスタートし、防災訓練や住民アンケートを通じて少しずつ内容を見直していく姿勢が大切です。
具体的な自治会 防災用品 リスト一覧
防災倉庫に入れておくべきもの
防災倉庫に何を入れるべきか、その全体像を把握するためには、まず物資を大きなカテゴリーに分けて考えることが有効です。主に、「食料・水」「生活・衛生用品」「救助用資機材」「情報収集・伝達機材」「その他」の5つに分類できます。
カテゴリー別の主な備蓄品
防災備蓄品は、大きくいくつかのカテゴリーに分けて準備することが推奨されます。
まず 食料・水 については、長期保存が可能なアルファ化米や乾パン、缶詰などの主食類に加え、粉ミルクやアレルギー対応食も備えておくと安心です。飲料用には長期保存水を確保しておくことが重要です。
次に 生活・衛生用品 では、災害時に欠かせない簡易トイレやトイレットペーパー、毛布などのほか、乳幼児や高齢者に必要なおむつ、生理用品、清潔を保つためのウェットティッシュや救急セットが含まれます。
救助用資機材 としては、がれき撤去や救助活動に役立つバールやジャッキ、のこぎりといった工具類、停電時に活躍する発電機や投光器、さらに搬送用の担架やリヤカーも備蓄対象となります。
また、災害時の情報収集や連絡手段を確保するために、情報収集・伝達機材 が必要です。手回し充電ラジオやメガホン、トランシーバーのほか、乾電池やホワイトボードもあると役立ちます。
最後に その他の備品 として、生活を維持するためにカセットコンロやガスボンベ、調理用の鍋、給水用ポリタンク、避難所や仮設生活で活躍するブルーシート、作業に必須の軍手なども準備しておくと安心です。
このようにカテゴリーごとに整理して備蓄することで、災害時にもれなく必要な物資を確保でき、生活の維持と安全の確保につながります。
これらの品目を、自分たちの自治会の規模や特性、想定される災害の種類に応じて、優先順位をつけながら揃えていくことになります。例えば、河川の近くであれば土のう袋や救命ボート、木造住宅密集地であれば初期消火用の可搬式ポンプなど、地域のリスクに特化した備えも必要です。全ての品目を一度に揃えるのは困難なため、まずは生命維持に直結する「食料・水」と「生活・衛生用品」から優先的に整備を進めるのが現実的な進め方と言えるでしょう。
自治会で揃えたい非常食の種類
災害時の食生活は、心身の健康を維持する上で非常に大切です。単に空腹を満たすだけでなく、温かく、少しでも日常に近い食事をとることが、被災者のストレスを和らげることに繋がります。自治会で非常食を備蓄する際は、いくつかの種類を組み合わせて用意することが望ましいです。
まず主食として、お湯や水を加えるだけで食べられる「アルファ化米」が中心となります。白米だけでなく、わかめご飯やドライカレーなど味のバリエーションがあると、食事が単調になるのを防げます。また、調理不要ですぐに食べられる「乾パン」や「パンの缶詰」、「クラッカー」なども便利です。
次に、多様な住民への配慮が求められます。咀嚼や嚥下が困難な高齢者向けには「おかゆ」のレトルトパウチ、乳幼児のためには「粉ミルク」と衛生的な「哺乳瓶」のセットが必須です。食物アレルギーを持つ住民がいることも想定し、アレルギー特定原材料等不使用の「アレルギー対応食」も一定量備えておくと、誰もが安心して食事をとれる環境に近づきます。これらの食料を温めるためのカセットコンロやガスボンベ、炊き出し用の大鍋なども忘れずにセットで準備しておきましょう。
詳細な防災倉庫の備品リスト
食料以外の生活必需品、いわゆる「備品」は、避難生活の質を大きく左右します。特に、断水時に問題となる衛生環境の維持は最優先課題です。
衛生用品
断水が続くと、トイレが使えなくなり、入浴もできません。このため、便器に被せて使用するタイプの「簡易トイレ」や凝固剤は、可能な限り多く備蓄する必要があります。また、下水道に直結できる「マンホールトイレ」が地域に整備されていれば、その使い方を訓練しておくことも大切です。体を清潔に保つための「ウェットティッシュ」や「長期保存用ボディタオル」、手指消毒用のアルコールなども感染症対策として有効です。
避難所生活用品
避難所での生活を想定した場合、プライバシーを確保するための「間仕切りパネル」や「テント」があると、ストレスの軽減に繋がります。また、床の冷たさや硬さを和らげるための「カーペット」や「段ボール」、防寒対策の「毛布」も必要です。軽量でかさばらないフリース素材の毛布は、保管スペースを効率的に使う上で役立ちます。
その他
その他にも、ごみをまとめるための「ゴミ収集袋」、給水車から水をもらうための「ポリタンク」、調理や食器洗いにも使える「バケツ」、夜間の明かりを確保する「ランタン」や「懐中電灯」、そしてそれらの電源となる「乾電池」も多めに準備しておきましょう。
救助に使う防災資機材リスト
災害発生直後の72時間は、人命救助のタイムリミットとされています。公的な救助隊が到着する前に、地域住民の手で倒壊家屋からの救出や障害物の除去を行わなければならない場面も想定されます。そのために、救助用の資機材を備えておくことは「共助」の力を高める上で欠かせません。
基本的な救出用工具
まず基本となるのが、バール、大型ハンマー、ボルトカッター、のこぎり、スコップなどがセットになった「救助用工具セット」です。リュックサックタイプのものを選ぶと、現場まで迅速に持ち運ぶことができます。
大規模な救助活動用資機材
より大規模な救助活動や障害物除去には、動力を用いた機材が威力を発揮します。木材を切断する「チェーンソー」、コンクリートなどを破壊できる「エンジンカッター」、重量物を持ち上げるための「ジャッキ」などが挙げられます。ただし、これらの機材は専門的な知識や訓練が必要なため、誰でも扱えるわけではありません。自治会内でこれらの機材を扱える人材を把握し、定期的に操作訓練を行っておくことが、いざという時の迅速な活動に繋がります。
避難誘導・夜間活動用資機材
夜間の活動や停電に備え、広範囲を照らすことができる「投光器」と、その電源となる「発電機」も必須です。また、多くの人を誘導したり、情報を伝達したりするための「電気メガホン」や「トランシーバー」も準備しておくと、組織的な活動が円滑に進みます。
防災グッズを町内会で配布する方法
防災グッズを備蓄するだけでなく、「誰が、いつ、どこで、どのように配布するのか」という具体的な運用ルールを事前に決めておくことが、災害時の混乱を防ぐ上で極めて大切です。
まず、配布の責任者や担当者を明確にし、安否確認と連動した配布計画を立てます。例えば、「各班の班長が担当地域の安否確認を行い、その結果に基づいて必要な物資を各世帯に配布する」といった流れをマニュアル化しておきます。
次に、配布の優先順位を検討する必要もあります。物資の量には限りがあるため、高齢者や乳幼児のいる世帯、持病のある方など、災害時に特に支援を必要とする「要配慮者」を優先的に配布する仕組みを、平常時から住民の間で合意形成しておくことが望ましいでしょう。
これらのルールは、机上で作るだけでは意味がありません。実際に物資を倉庫から出し、仕分けし、模擬的に配布するまでの一連の流れを、防災訓練で繰り返し実践することが不可欠です。訓練を通じて、「リヤカーが足りない」「仕分けに時間がかかりすぎる」といった課題が明らかになり、より実用的な計画へと改善していくことができます。
自治会防災の取り組みと用品リスト相談
ここまで、自治会で備えるべき防災用品リストの内容や管理方法について解説してきました。しかし、これらはあくまで自治会の防災への取り組み全体の一部に過ぎません。本当に大切なのは、備蓄した物資を円滑に活用できる「人づくり」と「組織づくり」です。
防災計画の策定や定期的な訓練の実施を通じて、住民一人ひとりの防災意識を高め、いざという時に協力し合えるコミュニティを育んでいくことが、地域の防災力を向上させる根幹となります。
とはいえ、専門知識のない住民だけで完璧な防災用品リストを作成し、効果的な防災計画を立てるのは簡単なことではありません。何から手をつけて良いか分からない、自分たちのリストに漏れがないか不安だ、という場合も多いでしょう。
そのような時は、防災の専門家に相談するという選択肢があります。防災用品を専門に扱う販売店の中には、防災士の資格を持つスタッフが在籍しているところもあります。そうした専門家は、各地域の特性や予算に応じた最適な備蓄品の提案から、防災計画の策生支援まで、多角的なアドバイスを提供してくれます。自分たちだけで悩まず、専門家の知見を活用することも、実効性のある防災体制を築くための賢明な方法の一つです。
地域防災は「自助」「共助」「公助」の三つの柱が連携することで成り立ちます。その中でも自治会などの備蓄は、公助が届くまでの間を支える大切な「共助」の役割を果たします。防災用品リストを作成する際には、地域の年齢構成や地形といった特性を考慮することが重要であり、一般的なリストはあくまで「たたき台」として参考にするとよいでしょう。
特に高層マンションでは、最低5日から7日間の在宅避難を想定し、エレベーター停止時の階段避難器具や情報伝達ツールの備えが欠かせません。また、防災倉庫については鍵の管理やアクセス方法のルール化が必須です。備蓄品は年に1〜2回の在庫点検とローリングストックを実践し、常に新しい状態を保つようにしましょう。
備蓄の目安は「1人1日あたり水3リットル、食料3食」。さらに高齢者や乳幼児、アレルギーを持つ方への配慮も忘れずに。非常食はアルファ化米や缶詰など複数の種類を組み合わせ、衛生管理のために簡易トイレやウェットティッシュは多めに備蓄しておくことが望まれます。救助用工具は備えるだけでなく、操作訓練と一緒に準備しておくことが大切です。
物資配布の際には安否確認と連動させ、優先順位を決めて配る仕組みを整えておくと混乱を防げます。また、備蓄品を実際に使ってみる防災訓練を定期的に実施することで、いざというときに役立ちます。
こうしたリスト作成や計画に悩んだ際には、防災の専門家に相談するのが有効です。最終的には、HIHの防災士にご相談いただければ、地域や施設の状況に合わせた具体的な備蓄計画や運用方法をご提案いたします。
本記事は、株式会社ヒカリネットの編集部が、代表で防災士の後藤秀和による監修のもと執筆しました。
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